
【第3回基礎講座 アート作品を鑑賞するとは】
日時|2025年5月11日(日)10:00 – 15:00
場所|愛媛県美術館 研修室
講師|春日 美由紀(Art & Communication Lab. うるとらまりん主宰者 京都芸術大学アート・コミュニケーション研究センター共同研究者)
今回の講座では愛媛県美術館へ足を運び、「対話型鑑賞」の手法を用いて、アート作品を鑑賞する経験をどのように深め活用していくことが出来るかを学びました。講師は昨年に引き続き春日美由紀さんです!

「対話型鑑賞」とは、作品を見て感じたことや考えたことをグループで話し合いながら、作品の見方を深めていく鑑賞法。今回、ひめラーたちはこの手法を通して、個人で感じ、考えたことをグループで共有すること、さらに作品理解を深める対話の場を作るファシリテーションの方法を学びました。
春日さんからは、ひめラーが地域やそれぞれのコミュニティの中でのファシリテーターになっていくためのスキルを講座を通して学び、今後の課題解決や新しい企画をみんなで考えていく際に生かして欲しいというアドバイスがありました。

午前は、まず春日さんとひめラーのみんなで数枚の絵画を鑑賞をしました。
春日さんから、「絵を鑑賞する時間よりも、絵の横にあるキャプションを読む時間の方が長いと言われています」というお話があり、ハッとした表情のひめラーたち。「そうかもしれない!」と声が上がり、いままでの自分の「鑑賞」は、目の前にある作品の内容や本質ではなく「作家名、タイトル、コンセプト」という、情報を得ていただけかもしれないと気づくところからはじまりました。
ひめラーからも、作品を見ているようで見れていなかったこと、また同じ作品を見ても人によって注目しているポイントが違ったり、解釈が異なるといった発見があったという感想がありました。こうした気づきはアート鑑賞だけに留まらず、多様な人たちとのコミュニティと関わっていく場合でもとても重要な視点かと思います。
「対話型鑑賞」における4つの基礎「みる→考える→話す→きく」の4つを意識しながら対話をして意見を交換することで、思考をより深くしていくことが出来ることを意識して、午後のワークに入っていきます。




午後は「ブラインド・トーク」と呼ばれるワークを行いました。2人組のチームになって、1人は目を閉じて、もう1人はその作品を言葉で説明して、見えていない作品を想像してもらいます。ひめラーはこのワークを通して、作品を見て感じたことを言葉にする難しさ、さらにどのような作品かを相手に伝える難しさを体感できたり、視覚で得る情報と、鑑賞者が見て感じたピュアな感想の両方を伝えることで相手に作品をイメージをしてもらいやすいという気づきがシェアされました。



次に、春日さん、愛媛県美術館 専門学芸員・担当係長の鈴木有紀さん、そして、ひめラー1期の山下洋一郎さんという3人のファシリテーターのもと、それぞれ3グループに分かれて、作品を見る「鑑賞者」、ファシリテーターと鑑賞者を観察する「観察者」という役割の中で、日本画やポスター画像、写真作品などジャンルの違うアート作品を用いて「対話型鑑賞」を体験しました。

体験を通して、ひめラーからはそれぞれのファシリテーターによって、ファシリテーションする方法に違いがあることのほか、各々のセンスや多様性があることを発見し、今後ひめラー同士や地域の方達と対話をする場面で「自分らしさを生かしたファシリテーション」は何かということも考えて、実践していきたいという力強い感想がありました。春日さんからも今後の日々の生活の中でも今日の学びを生かし、自分たちの行っていることを俯瞰して見ることを意識して、ぜひ今後の活動に役立ててくださいとのお言葉をいただいて今回の講座は終了しました。
(art venture ehime スタッフ 竹宮華美)