【第3回 鑑賞実践講座】
日時|2025年9月20日(土)10:00–15:00(昼休憩1h)
場所|愛媛県美術館
講師|春日美由紀(Art & Communication Lab. うるとらまりん主宰者、京都芸術大学アート・コミュニケーション研究センター共同研究者)
今回の講座も、第2回鑑賞実践講座に引き続き、愛媛県美術館にて「対話型鑑賞」の実践を行いました。
事前にシミュレーションしてから臨むひめラーもおり、前回以上に実践を意識する姿勢が見られました。

来館者が多い環境の中での実践となりましたが、ひめラーたちは、周囲に配慮しつつ、鑑賞者一人ひとりの意見を促しながら、タイムキープや立ち位置を工夫するなど、前回の気付きを活かしたファシリテーションを試みていました。


鑑賞後の振り返りも、回を重ねるごとに内容が深まっていきます。
あるグループでのファシリテーター役からは「鑑賞中に沈黙が生まれると不安になる」という率直な声がありました。

春日さんからは、「考えている沈黙」と「ただ沈黙している」の違いを捉えることが大切という指摘があり、意見が出づらい、ただの沈黙ではなく、適切な問いを投げかける、考える沈黙を目指していくことが大事という気づきは、今後の対話型鑑賞のみならず、ひめラーの活動全体に大きく影響していきそうです。
また、「対話型鑑賞のまとめ方が難しい」という課題も共有されました。
協働解を作るためにはどうすればよいか、どう終わらせるとよいか、という悩みの中で、ひめラー同士で意見を交わし、学びを深めていきます。春日さんからは「もっと見たいと思わせる終わり方、もっと見たくなる問いの投げ方が大事。そうすることでより興味を残すことができる」という別の角度からのアドバイスもありました。


今回の講座を通して、事前準備の大切さに加え、鑑賞者を丁寧に観察し、場の状況を読み解きながら進行することの重要性が改めて共有されました。
どのタイミングで問いを投げるか、どのように終わらせると鑑賞者の「もっと見たい」という気持ちにつながるのか、考えを深める回となりました。
(art venture ehime運営スタッフ 鈴木 宏佳)
