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第1回 鑑賞実践講座 ファシリテーションとは

2024.09.06

【第1回 鑑賞実践講座】
日時|2024年8月25日(日)10:00–15:00(昼休憩1h)
場所|愛媛県庁 第一別館 6階 トライアングルベース
講師|春日美由紀(Art & Communication Lab. うるとらまりん主宰者京都芸術大学アート・コミュニケーション研究センター共同研究者)

今回から実践講座がスタートします!
鑑賞実践講座では、「ファシリテーション力」を実践しながら学びを深めていきます。

まずはじめに、いろいろな形に切られた、たくさんのスイカが描かれている、フリーダ・カーロの《Viva la vida》という絵画作品を見ながら、どのスイカが食べたいか、どこからそのスイカを食べたいと思うのか、ひめラー同士でディスカッションし、その内容を発表していきます。「中身が見えていて安心なものを選んだ」というひめラーもいれば、「切らなくてもすぐに食べられる」「できるだけ大きいものを食べたい」というひめラーもいました。食べる基準のちがいから、価値観や着眼点のちがいが現れていることを感じる中で、「この場で起きていることはどういうことなのか?」ということを俯瞰して見る体験をしました。

「いろんな物事が不確実で、将来の予測が難しい現代では、ミーティングやプロジェクト全体を通して、正解のない問いに対する暫定的な解が求められている」と春日さん。対話型鑑賞においても、作品が持つ問いや謎に対しての解答は一つではなく、捉え方やその解釈には幅があります。そのため、「どこからそう思う?」という問いをもとに、捉え方やその解釈の根拠を明らかにして、その場にいるみんなの協働や、納得をもとにした一時的な解(協働解)をつくっていくのが大事なのだそう。そのようにプロセスを分解して考えると、今の社会で求められることと同じことが、対話型鑑賞の中でも行われていると、ひめラーの皆さんも理解していきました。


「鑑賞力はアート鑑賞に限った話ではなく、場を見る力のこと」という春日さんの言葉が印象的で、ひめラーの皆さんも納得している様子でした。みんなで力を合わせて協働解を作り出すために、ファシリテーションする力で場を盛り上げたり、集まった人どうしの協働を促すことは、これからのひめラーの活動の中で非常に大事な要素になってくることを学ぶことができました。

ひめラーが行うファシリテーション実践に向けて、鑑賞者の視点から作品鑑賞を行ったり、観察者の視点から春日さんのファシリテーションを見て問いを見つけるワークを行いました。鑑賞の中で、他のひめラーの発見から納得する様子が見られたり、時に笑いが起きたりなど、豊かな鑑賞体験が行われていました。

午後からの講座は、午前中の春日さんによるファシリテーターとしてのふるまいから、感じた疑問をひめラーから春日さんに尋ねるところから始まりました。春日さんの考えを聞く中で、場の様子を見ながら判断していくことが、ファシリテーターにとって重要な要素の一つであることを学んでいきました。

ひめラーが行うファシリテーションの実践に向けて、グループ分けと作品選びをひめラー同士で行いました。年齢や性別、住んでいる地域をなるべく均等にグループ分けをする必要があるため、ひめラーたちは話し合いの中で工夫をしながら、グループ分けをしていきました。

それぞれのグループ内で作品選びが終わったのち、愛媛県美術館所蔵作品100点を使ったアートカードを用いて、「新しい遊び方を考える」ワークを行ないました。アートカードを順にめくり、めくった絵をもとに言葉を繋げ、物語にする遊びを考えるグループもあれば、神経衰弱のような遊び方をするグループもありました。グループ内で意見を組み合わせたり、試行錯誤を重ねたりしながら、遊び方の多様な協働解を見出す様子は、今回の講座の学びが早速活かされていて、とても印象的でした。

最後に、今日の講座の昼休憩や放課後も、ひめラー同士でのミーティングが積極的に行われていましたことを、ここに報告いたします。
(art venture ehime スタッフ 鈴木宏佳)

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