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アクセス実践講座・コース3(こどもの城など)第1回

2025.08.12

日時|2025年7月7日(月)10:00 – 16:00(昼休憩1h)
場所|愛媛県美術館 1階 ハイビジョンギャラリー
講師|春日美由紀(Art & Communication Lab. うるとらまりん主宰者 京都芸術大学アート・コミュニケーション研究センター共同研究者)、白鳥建二(全盲の美術鑑賞者・写真家)、中村和憲(食文化・料理研究家/作曲家)、上杉篤史(松山盲学校教諭)、谷口泰祐(松山盲学校教諭)

全6回の基礎講座を終えたひめラーたちの実践講座がはじまりました!
アクセス実践講座・コース3では、基礎講座でアートにおける「対話型鑑賞」の手法を教えていただいた春日さんを中心に、全盲の美術鑑賞者・写真家としても活動されている白鳥建二さんや、松山盲学校の生徒の皆さんとも交流をしながら、全4回にわたって共生社会をどのようにつくっていくことができるか、実践的に考えていきます。

初回の講座では、まずはじめに松山盲学校の上杉先生と谷口先生から「視覚障がいの概要(目の見えること、見えないこと)及び松山盲学校の取り組みについて」というテーマでお話を伺いました。視覚や視覚障がいのことに加え、器具を用いたさまざまな見え方の体験、学校での支援や取り組みなどについて詳しくお話を伺いました。

「見る・見えない」とひとことに言っても人によって見え方のグラデーションがあること、また眼鏡等で矯正をしていることも視覚障がいの一つであるというお話などがあり「障がい」とは何かを考えさせられるお話でした。

休憩を挟んだ後は、障がい者芸術祭など、障がいをもつ子どもたちと活動をされている中村和憲さんがこれまでに手がけてこられた、子どもたちとの演劇や、ミュージカル、文化祭、商店街でのパフォーマンスなど、様々なプロジェクトについてお話を伺いました。
「表現」という言葉は感情を動きや言葉を使って「表に表す」ことであり、その表現を通して身近な人や、これまで出会った人たちとの巡り合わせの奇跡を感じてもらいたいというお話にひめラーたちも大きく頷きながら聞き入っていました。

午後からは、まず白鳥さんからこれまでの活動についてお話を伺いました。

本格的に美術鑑賞を始めるまでは、美術に対して特別な感情はなく、むしろ美術館に偏見を持っていたという白鳥さん。あるきっかけから美術館に通い始め、鑑賞する楽しさを知ったことが、現在の活動へとつながったそうです。今では、美術鑑賞がご自身にとって大切なコミュニケーションツールの一つになっているとお話しいただきました。

質疑応答の時間には、ひめラーたちから白鳥さんへ多くの質問が寄せられ、「なにをもって作品の面白さを感じているのか」「どのように作品のイメージを膨らませているのか」「色はどのように伝えれば良いのか」など、さまざまな質問を投げかけながら、自分たちではなかなか想像できない感覚について、真剣な表情で耳を傾けていました。

そして、春日さんと白鳥さんそれぞれのファシリテートのもと、3つの作品を通して美術鑑賞を実践しました。

作品の鑑賞者として、二人のファシリテーションの違いを探そうとすればするほど「作品をじっくりと味わう」という行為に対して大きな差はなく、美術館という場所がフラットな空間であることにも気づくことができました。

最後に、白鳥さんから、「作品について『わかった』とは何か?」というお話があり、そもそも、何がどこまで「わかる」ことなのか、「わかり合えない」ことも受け入れることや、「わかり合える」ように相手と努力を重ねることが大切だというお話は、美術鑑賞に限らず、多様な人と関わっていく上で心に留めておきたい大切な考え方だと感じました。
気づきや学びが非常に多く、次回のアクセス実践講座も楽しみです!
(art venture ehime 運営スタッフ 竹宮華美)

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